【学生取材】新学部棟とインキュベーションセンター竣工 ―新たな地域創生の架け橋に―

公開日 2025年06月02日

 春先の寒さが残る中、2025年4月21日(月)に材料エネルギー学部棟と産学協創インキュベーションセンター竣工記念式典が行われました。今回は、竣工記念式典の様子と共に、待望の新学部棟と産学連携の中心となるインキュベーションセンターの今を取材してきました。

 

 この日の式典には、廣田貢文部科学省文教施設企画?防災部計画課長、丸山達也島根県知事や児玉泰州島根県鐵工会理事長、東北大学並びに秋田大学関係者らあわせて総勢60名の方が参加されました。

 竣工への祝辞では、文部科学省代表の廣田計画課長から、「地方創生を軸に置き、産業発展と地域独創性を生み出すハード面とソフト面での拠点が整備されたことでより地域のニーズに応える大学へと繋がっていくだろう」と期待のお言葉がありました。また、丸山知事は、材料エネルギー学部の開設時を振り返り、「当初はNEXTA(次世代たたら協創センター)の流れから金属系の学部と思っていたが、広範な材料?素材、さらにはエネルギー分野までを対象とされたのは挑戦的なアイデアであり、大変心強かった」と話され、学生目線から「材料エネルギー学部の学生にとっては、今回の完成で改めて新学部に入学した実感がわくのではないか」と語ってくださいました。続けて、児玉鐵工会理事長は、「アントレプレナーシップ教育を生かした、地方創生がより効果的なものになるだろう」と期待を寄せてくださいました。これらの祝辞の後、大谷学長らによるテープカットが執り行われました。


竣工式典テープカット


 竣工式典後半では、三原材料エネルギー学部長?三浦先端マテリアル研究開発協創機構長による両組織の現状と今後の展望についての紹介がありました。


三原材料エネルギー学部長による説明 


 材料エネルギー学部の特徴として、入試制度の女子枠導入により理系、工学系学部の中では少ないとされる女子学生が3割弱も所属していることが強調され、教師陣も8割以上が学外からの教員と客員教授で構成されていることから他の学部に比べてかなり新鮮味があることをアピールされていました。また、学部の授業として島根原子力発電所やプロテリアル安来工場への見学など、エネルギーや金属?素材系の実際のビジネスの現場について学ぶ環境や、東京大学の宮脇教授をお招きした米国流アントレプレナーシップ教育についても特色として紹介されました。

 先端マテリアル研究開発協創機構からは、今後の展望として、本学が文理融合の総合大学であることを踏まえ、ジオサイコロジー的アプローチなど、「島根の力を集結して未来を拓く」をキャッチコピーに多角的な視点で取り組んでいくとの紹介がなされました。機構の教師陣は、アメリカ、ドイツ、中国出身など国際色も豊かで、博士の学位を有する高度技能職員らも迎え、国内外の大学研究機関からの兼務教員含め総勢約120名体制で先進的な工学研究を進めていくという方針を語っておられました。


インキュベーション外観


 式典終了後、材料エネルギー学部棟と産学協創インキュベーションセンターの内覧会が行われました。

 三浦機構長の先導の元、まずは、産学協創インキュベーションセンターを見学しました。本センターは、鉄筋コンクリート造2階建て、総工費約8億4、000万円、延べ床面積は1、944m2。元々駐輪場であった敷地を最大限に活用した広さとなっています。


三浦機構長による説明 最新機器が並ぶ様子 三浦機構長による説明


 1階は広いフロアとなっており、もの創りに必要な三次元積層造形の最新機器は勿論のこと、様々な材料の分析評価研究機器の設置が予定されており、数年以内に地域の試作開発センターとして機能するとのことです。真新しい研究機器に、かなり研究意欲がそそられる、そんな理系にとって天国のような空間になることでしょう。


フロアパノラマ写真


 続いて、材料エネルギー学部棟に向かいました。材料エネルギー学部棟は、鉄筋コンクリート造5階建て、エレベーター1基、延べ床面積4、076m2、総工費約16億8、000万円。総合理工学部2号館の一部を取り壊し、建設されました。隣接した総合理工学部2号館とは、各フロアが通路で繋がっています。
 材料エネルギー学部棟内の雰囲気は、他の学部の建物とは顕著に異なります。1階は、大型分析機器を揃えており、その中でもリガクのSmartLab 全自動多目的X線回折装置は浸透力の高いAg線源を採用し、結晶?非晶問わず材料系局所構造特定に活用できる環境が整備されていました。その他の階では情報系?化学系?金属系とそれぞれに実験室などが設けられており、実際にグローブボックス内の不活性ガス雰囲気下で実験に挑む学生の姿も見られました。さらには、今回の記念式典が実施された5階は、イベントやセミナー、自習空間など様々な活用が可能なフロアであり、企業と学生の交流の場として島根の地から新たなイノベーションが生まれることに期待が寄せられる空間となっていました。


材エネ棟外観
 

材エネ棟説明写真 材エネ棟説明写真
 

材エネ棟説明写真 材エネ棟説明写真


~取材を終えて~

 総合理工学部に身を置く私にとって、産学協創インキュベーションセンターや材料エネルギー学部棟の設備はかなり目を見張るものばかりでした。新型の機器だけでなく、研究のための様々な分析の選択肢を広げられる、そのような可能性を強く感じました。

(取材?撮影:学生広報サポーターI.R)