医学部地域?老年看護学講座の榊?原文講師が共同で妊娠中の長時間のインターネット使用が低出生体重児の出生と関連がある可能性を示唆しました(プレスリリース)

公開日 2025年01月24日

 島根大学医学部看護学科地域?老年看護学講座 榊?原文講師は、香川大学医学部看護学科地域看護学 芳我ちより教授らと共同で、妊婦のインターネット長時間使用(仕事以外で1日5時間以上使用)と低出生体重児(2,500g未満で出生した児)の出生との関連を明らかにしました。研究成果は、Environmental Health and Preventive Medicineに、2024年12月12日(足球即时比分時間)にオンライン掲載されました。

【本研究成果のポイント】
 低出生体重児は、将来の循環器疾患等、生活習慣病になるリスクが高いと言われています。本研究は、妊娠中の長時間のインターネット使用が、低出生体重児の出生と関連がある可能性を示唆しました。

【研究の内容と成果】
 2016年4月~2017年9月の間に、島根県松江市で妊娠届出をした妊婦のインターネット使用に関する調査と、出生届出時の出生情報を使用して解析を行いました。データ解析にあたっては、低出生体重児の極めて高いリスク要因である多胎と喫煙していた妊婦のデータは除外しました。
 その結果、妊娠中に仕事以外でインターネットを1日5時間以上すると回答した妊婦の割合は4.4%、低出生体重児の割合は7.2%でした。妊娠中に仕事以外でインターネットを5時間以上使用している場合、そうでない妊婦と比較して、2.16倍 低出生体重児を出生する可能性が示唆されました(図1)。
 妊娠中の長時間のインターネット使用と低出生体重児との関連が直接的なものか、間接的なものかは明らかではなく、このメカニズムの解明は今後の課題です。また、低出生体重児の要因となる妊娠中の栄養状態や体重の変化、先天異常の有無に関するデータを使用できていないことが本研究の限界です。今回の結果をもって、妊娠中の長時間のインターネット使用が、必ずしも低出生体重児の出生につながるとは言えず、あくまでもリスクの1つとして捉える必要があります。
 しかし、これまでの研究によれば、インターネットに夢中になると、健康管理が疎かになることや、食事量の減少?欠食により痩せるリスクがあること、栄養バランスの偏りをきたすことが明らかにされており、このことが低出生体重児の出生につながる可能性として推察されます。
 インターネットは適切に使えばメリットは大きいですが、母胎管理に影響を及ぼすような長時間のインターネット使用には注意が必要です。また、妊婦の健康管理に関わる医師、助産師、保健師、看護師等は、妊婦がインターネットを長時間使用している場合、低出生体重児の出生につながるような要因がないかを確認し、必要なサポートを行うことが重要であると考えます。

図1:妊娠中のインターネット長時間使用と低出生体重児出生との関連:多変量ロジスティック回帰分析
 

【論文情報】
?論文タイトル: Associatio between long Internet use during pregnancy and low birth weight: a retrospective cohort study
?掲載誌:Evironmental Health and Preventive Medicine
?論文URL: https://doi.org/10.1265/ehpm.24-00279
?著者(所属?職名)
  榊?原文  (島根大学医学部看護学科地域老年看護学講座 講師)
  芳我ちより(香川大学医学部看護学科地域看護学 教授)
  金城文  (鳥取大学医学部社会医学講座環境予防医学分野 准教授)
  尾﨑米厚 (鳥取大学医学部社会医学講座環境予防医学分野 教授)

◆本研究の詳細(プレスリリース記事)についてはこちら

◆本件の連絡先
(研究に関すること)
医学部看護学科 地域?老年看護学講座 講師 榊?原 文
Tel:0853-20-2337
Mail:aya@med.shimane-u.ac.jp

(広報に関すること)
医学部総務課企画調査係
TEL:0853-20-2019?2531
Mail:mga-koho@office.shimane-u.ac.jp